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2025年11月17日~11月21日の主な出来事:財政懸念?10年債の利回りが1.84%水準まで上昇

動画教材:
馬渕磨理子先生の解説

www.youtube.com

 

動画の主なポイント

1. 市場の動向と外部要因

  • 今週、株式市場は金利上昇、円安加速、株価乱高下により大きく揺れました。
  • その背景には、財政懸念という言葉が飛び交いました。
  • 世界的にハイテク株を動かすNVIDIAの決算と、アメリカの雇用統計が発表されました。
  • アメリカの雇用統計(9月分)は市場予想を大きく上回る強い内容(予想5.5万人増に対し結果11.9万人増)であり、これによって利下げ先送りの影響が出ると見られています。
  • 金利が高い状況が続くと、株価にはマイナスとなり、アメリカ株が下落し、日本株も下落する状況となりました。
  • 一方、金利が高い状況が続くため、ドル高・円安傾向が継続しています。

2. 金利上昇と財政懸念の鎮静化

  • 補正予算が21兆円の規模で21日に決定されました。
  • この動きを受けて、10年債の利回りが一時1.84%水準まで上昇しましたが、その後低下に転じ、金利上昇の動きは一旦落ち着いています(21日時点で1.7%台まで低下)。
  • 金利の落ち着きが見られた背景として、以下の3つの見解が挙げられています。
    1. 不透明感の交代: 21日時点で予算の全体像が見え、財政拡張の規模に関する不安が後退したため。
    2. 有識者のコメント: 20日(木曜日)に、経済財政諮問会議のメンバーである長浜氏が、財政規模は起律的であり、補正予算を組んでも政府債務残高は増えないという試算を公表したため。
    3. 政府からのメッセージ: 21日(金曜日午前中)に、片山財務大臣高市総理が、補正後も国債残高は悪化しないというメッセージを同時に出し、ワイズ・スペンディング(賢い支出)を徹底する姿勢を打ち出したため。
  • 財政懸念が出た中でも、日本のCDSクレジット・デフォルト・スワップ)はほとんど動きがなかったことも、判断基準の一つとなっています。

3. 円安の状況と株価の変動

  • 円安についてはまだ落ち着いておらず、ドル高円安傾向が続き、11月21日時点で156円から157円水準で推移しています。
  • このままでは160円をタッチする動きも考えられ、口先介入や為替介入、あるいは利上げに踏み切るなどの手段が取りうる状況です。
  • マーケットの対話において重要なのは、順番に債券市場(金利上昇)→為替の状況→株価ですが、懸念されていた10年債金利は低下しつつも、円安はまだ加速している状況です。
  • 日経平均株価については、25日移動平均線を割り込んできたら購入するという投資行動が示されました。
  • 日経平均株価は、半導体・AI銘柄(アドバンテストソフトバンク東京エレクトロン)の寄与度が大きく、NVIDIAの決算次第で大きく動く傾向があり、この1週間も乱高下を繰り返しました。
  • 株価は75日移動平均線(約46,000円)ぐらいまでは調整の範囲内であり、悲壮感が出る水準ではないと評価されています。

4. 長浜氏による財政分析の詳細

  • 長浜氏の分析のポイントは、財政の健全性を判断する指標として、皆が共通認識を持つ**「政府債務残高 対 GDP比」**を用いるべきだという点です。
  • 長浜氏の試算によると、2023年度の政府債務残高(補正後1,142兆円)を名目GDP(636兆円)で割った比率(179.6%)は、前年度(180.4%)に比べて低下が維持できる見込みであると示されました。

5. 「責任ある積極財政」の説得力と課題

  • 高市氏の提唱する「責任ある積極財政」は、日本の供給力を伸ばし経済を成長させることを目的としていますが、財政懸念の声が出やすい状況があります。
  • 政府は、需要拡大だけでなく、将来の予算編成において、無駄削減の項目などを具体的に示し(例:無駄削減五項目)、構造改革とセットで提示することで、説得力が増すと提言されています。
  • 来週以降は、「日本版ドッジ・ライン」(体質をカットする取り組み)に焦点が当たる可能性があり、これは国民の信頼回復のフェーズに入っていることを示唆しています。

6. NVIDIAの決算とAIバブルへの懸念

  • NVIDIAの決算は、売上高、一株当たり利益、そして今後の売上高見通しの全てがアナリスト予想を上回り、非常に強い結果となりました。
  • 高性能なBlackwellの売上は桁違いで、クラウドGPUは売り切れの状態です。
  • AIバブルに関する懸念点も指摘されています。
    1. 過剰な集中リスク: NVIDIAの売上が大手4社に依存しており、もしこれらの企業が投資ペースを落とすと影響が出る集中リスクがある。NVIDIAは顧客の多様化を進めている(例:サウジアラビアなど)。
    2. 資金循環(レンタルバック): 投資先のクラウド企業がNVIDIAGPUを購入し、NVIDIAがその計算能力を借り戻す「レンタルバック契約」の総額が前期の2倍以上に拡大(260億ドル)しており、バブルの典型例ではないかという懸念。
    3. 物理的制約(天井): 2026年以降、データセンター建設に必要な電力、土地、送電網の不足により、AI成長に物理的な天井が来る可能性。
  • 結論として、懸念はありつつも、実需が続く限りNVIDIAはAIインフラ投資の中心企業であることに変わりはないとされています。

7. 経済思想の背景

  • 高市政権の方向性に関連して、経済学者のマリアナ・マッツカート氏の書籍『企業家としての国家』が紹介されています。
  • この書籍は、民間が効率的で政府は非効率という固定概念を覆し、**「国家こそが未来の産業を作る企業家である」**という新しい経済観を提示しています。
  • GAFAの基盤技術のほぼ全てが国家の投資から生まれたことが示されており、現在の日本政府が重要分野を選定し、投資を推進する姿勢と近い思想を持っている可能性があります。
  • マッツカート氏は、国が多額の資金を供給したにもかかわらず、リターンが少ない現状に対し、国にもリターンが得られる仕組みが必要だと考えています。

この動画のポイントは、市場の混乱が財政懸念と外部要因(特に米国の強い雇用統計)の複合作用によるものであったこと、そして政府と有識者の対話を通じて財政懸念が一旦沈静化したことです。しかし、根強い円安傾向と、AI技術の核となるNVIDIAの成長性に対する期待と懸念の両方が存在することが明確にされています。

現在の経済状況は、まるで複雑なオーケストラが演奏されている状態に似ています。金利(弦楽器)が急に高まり、為替(木管楽器)が不協和音を奏で、株価(打楽器)が乱打されています。この中で、政府は「責任ある積極財政」という新しい楽曲を指揮しようとしていますが、成功には、ただ音を出すだけでなく、聴衆(市場と国民)が納得できるような「無駄の削減」や「成長戦略」といった、明確な楽譜(構造改革)を示すことが求められている、と言えるでしょう。



タイムライン

このタイムラインは、主に金利上昇、円安進行、株価乱高下といった市場の動きと、それに関連する政府や専門家の対応を中心に構成されています。

市場および政策の動きに関するタイムライン

日付/時期

イベントまたは状況

参照元

9月

(9月分の)米国の雇用統計の市場予想は5万5000人増であった。

 

11月18日 (火曜日)

日経平均25日移動平均線を割り込んだ。話し手(うまちゃん)はこれを受けて、J-REITや単価の安い日経平均ETFなどを購入した。

 

11月20日 (木曜日)

米国の9月分の雇用統計(遅れていたもの)が発表された。結果は市場予想(5万5000人増)を大きく上回る11万9000人増となり、非常に強い内容であった。これによって、米国の利下げ先送りの影響が出そうになった。

 

11月20日 (木曜日) お昼頃

補正予算の全体像が見え始め、財政規模に対する不透明感が後退した。

 

11月20日 (木曜日) お昼頃

経済財政諮問会議のメンバーである第一生命経済研究所長浜氏が、日経新聞やYahooニュースにコメントを発表した。長浜氏は、財政規模は規律的であり、今回の補正予算を組んでも政府債務残高は増えないとの試算を示した。このタイミングは、10年債の利回りがピークを迎えた頃であった。

 

11月20日 (木曜日)

米国の強い雇用統計の結果、金利が高い状況が続くとの見方から株にダメージが出た結果、NVIDIAの株が下落した。

 

11月21日 (金曜日)

補正予算(21兆円規模)が決定した

 

11月21日 (金曜日)

財政懸念の動きを受けて、10年債の利回りが一時1.84%水準まで上昇した。

 

11月21日 (金曜日) 午前中

片山財務大臣が「補正予算後も国債残高は悪化しない」と報道で発言した。

 

11月21日 (金曜日) 同時期

高市総理もメディアのコメントで「補正後も国債残高は悪化しない」というメッセージを出し、片山大臣と共にワイズスペンディングを徹底する方針を示した。

 

11月21日 (金曜日) 時点

10年債の利回りが1.7%台まで低下し、金利上昇の動きが一旦落ち着いた。30年債の利回りも3.3%まで低下した。

 

11月21日 (金曜日) 時点

円安傾向は依然として落ち着いておらず、156円〜157円水準で推移している。

 

将来

日本版同氏(体質のカット)に関する議論が来週以降、本格的に動きそうであり、日本維新の会が焦点となる。

 

12月5日

「馬渕磨理子の金融経済手帳」が届けられる予定。

 

マーケットの動きの概況

この1週間、マーケットは「金利は上昇、円安は加速、そして株は乱高下」という状況に大きく揺れました。特に、財政懸念という言葉も飛び交う中で、10年債の利回りが1.84%水準まで上昇しましたが、21日時点では1.7%台まで低下し、金利の上昇は一旦落ち着く流れとなりました。

この金利の落ち着きには、補正予算の全体像が確認され不透明感が後退したこと、そして長浜氏や片山財務大臣高市総理ら政府関係者からの「国債残高は悪化しない」というメッセージがタイムリーに発せられたことが寄与したと考えられています。

一方で、円安については、アメリカの強い雇用統計によって利下げの可能性が薄くなり、ドル高円安傾向が続き、156円から157円水準で推移しており、まだ落ち着いていない状況です。このため、今後は強い口先介入や為替介入、あるいは利上げなどが選択肢として考えられます。

株価については、米国株が下落し、日本株も下落する状況となりましたが、これは利下げ先送りの影響により金利が高い状況が続き、株へのダメージとなったためです。日経平均は25日移動平均線を割り込みましたが、これは調整の範囲内であり、悲壮感が出る水準ではないとされています。

 

 

 

 

2025年11月17日週の振り返り

11月17日(月)

  • 主なイベント:7-9月期GDP速報値、10年物物価連動国債入札、米11月NY連銀製造業景気指数が発表されました。
  • 市場の動き:取引開始前に発表された7-9月期GDP速報値が6四半期ぶりのマイナス成長になったことが嫌気され、東京市場は小幅安で始まりました。
  • 日経平均は下げ幅を広げ、一時49,845円をつけるなど530円安となる場面がありました。
  • 売りが一巡した後に買い戻され、一瞬プラスに浮上しましたが、買いは続きませんでした。
  • 午後に入ると、高市総理が国会で台湾有事について答弁したことを受け、中国政府が日本への渡航や留学について自粛するよう注意喚起しました。これが幅広いインバウンド関連株の売りを誘い、上値を押さえたまま取引を終えました。

11月18日(火)

  • 主なイベント:10月訪日外国人客数、米11月NAHB住宅市場指数が発表されました。
  • 市場の動き:12月の利下げ期待が後退し、NYダウなどの米主要株価指数が下落していたことが嫌気され、東京市場大幅安で開始しました。
  • 日経平均は5万円を割り込み510円安で始まり、そのまま下げ幅を広げました。
  • 午後、NYダウやナスダック100の先物時間外取引でマイナスとなり、この日の夜の米国市場に対する警戒が高まりました。
  • 日経平均への寄与度が高いAI、データセンター、半導体関連株が下げ幅を広げたことで、日経平均はさらに下げ幅を拡大し、一時48,661円をつけるなど1,662円安となりました。日経平均は5万円を割り込んで終えました。

11月19日(水)

  • 主なイベント:10月貿易統計、インドネシア中銀政策金利発表、英10月消費者物価指数、米FOMC議事要旨(10月28-29日開催分)が発表されました。日本時間翌日早朝にエヌビディアの決算発表を控えていました。
  • 市場の動き:米国株の下落やエヌビディアの決算を控え、反発して始まったものの方向感のない値動きとなりました。
  • 日経平均は一時48,235円をつけるなど467円安となる場面がありましたが、売りが一巡すると買い戻しが優勢となりプラスに浮上しました。
  • 午前の取引終了前には384円高となりましたが、午後に入って売り物に押され、再びマイナスに沈み4日続落で終えました。TOPIXも小幅ながら4日続落となりました。

11月20日(木)

  • 主なイベント:中国11月最優遇貸出金利、米11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、同10月中古住宅販売指数が発表されました。
  • 日本時間の取引開始前に、注目された半導体大手エヌビディアの決算が発表され、結果や見通しが予想を上回りました。
  • 市場の動き:エヌビディアの好決算や、ナスダック100やS&P500の先物時間外取引で大幅高となっていたことが、東京市場買い材料となりました。
  • 日経平均TOPIXともに買い先行で始まり、そのまま上げ幅を広げて5万円台を回復しました。
  • 日経平均は一時50,574円をつけるなど2,037円高となる場面がありましたが、買いが一巡すると徐々に上値が重くなり上げ幅を縮小しました。
  • 午後、5万円を挟んだもち合いとなりましたが、5万円を保つことができずに押し返されて終えました。

11月21日(金)

  • 主なイベント:10月全国消費者物価指数、英10月小売売上高、PMI(英、ユーロ圏、米の製造業・サービス業)が発表されました。
  • 市場の動き:エヌビディアの好決算を受け上昇が期待された米国市場で買いが続かず、結局下落して終えていたことが東京市場の売り材料となりました。
  • 日経平均は572円安で始まり、下げ幅を拡大し1,000円超値下がりして午前の取引を終えました。
  • 午後も売りに押され、一時48,490円をつけるなど1,333円安となる場面がありました。
  • プライム市場全体の8割近い銘柄が値上がりしていたことやTOPIXがプラスに浮上する場面があったことで下支えがあり、日経平均は安値圏で横ばいのまま終了しました。TOPIXは小幅な反落となりました。