動画教材:
馬渕磨理子先生の解説
動画の主なポイント
1. 米国の金融政策と中立金利の動向
- 米国は12月に0.25%の利下げを3回連続で行いました。
- 現在の金利水準(3.5%)は、中立金利(3%程度と見られる)のレンジの上限近くまで下がってきており、今後は利下げを慎重に進める方針が示唆されています。
- 2026年に入ってからの利下げ見込みは1回程度となる可能性が示されています。
- 短期国債の購入が発表されましたが、これは金融緩和ではなく、金利を下げるための通常の運転を保つためのメンテナンス作業(微調整)というニュアンスです。
- K字型経済の懸念: 企業部門(特にAI関連)は好調だが家計の貧困層が増加する「K字型経済」が進行した場合、経済成長力が下押しされ、中立金利の水準感も低下する可能性が懸念されています。
- 一方、トランプ関税によるインフレ上昇圧力などを考慮し、中立金利が高い水準で止まる(高止まりする)という見方をする専門家も存在します。
2. 経済見通しと2026年のリスク
- FOMC参加者の経済見通し(12月予想)では、2026年の経済成長率は9月予想の1.8%から2.3%に上方修正され、物価の見通しは2.6%から2.4%に下方修正されています。
- FRBが認識する2026年の主要なリスクとして、政策の不確実性(61%)、地政学リスク、長期金利の上昇(43%)、そして**AI(人工知能)**が挙げられています。
3. 株式市場とAI投資のリスク(オラクルショック)
- 米国の利下げは株式市場にプラスに働き、ダウは高値を更新し、S&P500も堅調に推移しています。
- ナスダックは下落しましたが、これはAI関連で注目されていたオラクルが10%以上下げたことが理由です。
- オラクルは増収増益であったにもかかわらず下落しましたが、その理由はフリーキャッシュフロー(FCF)が赤字に転換したためです。
- FCFの赤字は、本業(営業キャッシュフロー)で稼いだ資金だけでは設備投資(投資キャッシュフロー)を賄いきれていない状況を示します。
- オラクルは、営業キャッシュフローは黒字、投資キャッシュフローはマイナス、財務キャッシュフローはプラスの「積極投資型企業」の構図に見えますが、FCFの大幅赤字が懸念材料となっています。
- GoogleやNVIDIAは、FCFが黒字であり、有料企業に分類されるキャッシュフロー構造(営業:+、投資:-、財務:-)を維持しています。
- AI業界における過剰な設備投資が懸念される中、今後は売上や利益だけでなく、キャッシュフロー計算書(特にFCF)を分析することが重要になっています。
- 2025年のS&P500は、現在の水準から15%程度の伸び(7900~8000ポイント)が視野に入っていますが、20%の下落(5400ポイント)のリスクも想定されています。
4. 日本の動向と主要イベント
- 来週の日銀金融政策決定会合での利上げはほぼ確実視されており(91%が織り込み済み)、最大の焦点は植田総裁による「中立金利」への言及の程度です。
- 2026年(辰年)はアノマリーとして株価のパフォーマンスが振るわない傾向があり、特に米中間選挙の年と重なるため注意が必要です。
- 2026年のイベントとして、中上国会での「国家情報局創設」の議論(サイバー・セキュリティ関連銘柄に焦点)や、5%以上の賃上げを目指す動きが注目されます。
- 日銀審議委員(野口氏、中川氏)の任期満了(3月、6月)に伴う人事が、株式市場に影響を与える可能性があります。
- 米国の中間選挙も最大のリスク要因の一つです。
先週(12月8日〜12月12日)の市場の動き
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日付 |
主要イベント(日本時間) |
終値の結果 |
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12月8日(月) |
10月国際収支、11月景気ウォッチャー調査、中国11月貿易収支、独10月鉱工業生産 |
米国市場の上昇と前週末の大幅安の反動から買い先行で始まった。直後に先物主導で下落に転じ、両指数とも一時マイナスに沈んだ。日経平均は値嵩株の売却でマイナス圏で推移したが、TOPIXは市場全体の買いに支えられプラスに浮上した。午後、TOPIXが上げ幅を広げ、日経平均もプラスに浮上した。 |
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12月9日(火) |
米FOMCを控えて方向感のない値動きとなった。買い優勢で始まり、日経平均は95円高から一時50,700円台に乗せたが、売り物に押されてすぐにマイナスに転じた。その後、前日の終値を挟んだ方向感のない値動きが続いた。取引終了にかけて押し目買いが入り、プラス圏を維持した。 |
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12月10日(水) |
FOMCの結果やパウエル議長会見を控え、ポジション調整とみられる売買で方向感のない値動きとなった。買い先行で始まり、値嵩のAIや半導体関連株が買われ、日経平均は一時452円高(51,107円)となった。買いが一巡すると売り物に押され、両指数ともマイナスに沈んだ(一時325円安)。午後、SQ前の最終売買日を意識した買い戻しが優勢となり、TOPIXはプラスに浮上した。 |
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12月11日(木) |
米9月貿易収支、米週間新規失業保険申請件数。前日未明に米FOMCが予想通り0.25%の利下げを決定。 |
米FOMCの結果を受け買い先行で始まったが、失速する格好となった。日経平均は一時273円高(50,875円)となったが、買いが続かず直ぐに売り物に押され、両指数ともマイナスに転じた。昼休み中、時間外の米国株(ナスダック100やS&P500)が下げ幅を広げた警戒感から、午後は下げ幅を拡大。日経平均は5万円を割り込み、一時676円安となった。 |
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12月12日(金) |
メジャーSQ |
米国市場でNYダウとS&P500が過去最高値を更新したことが買い材料となり、両指数とも反発して開始。日経平均は一時978円高(51,127円)となったが、買いが一巡すると51,000円を割り込み上げ幅を縮小した。TOPIXは高値圏でのもち合いの後、午後に入って上げ幅を拡大し、日経平均も持ち直した。 |