探す
国際金融のトリレンマ、または不可能の三角形とも呼ばれる概念は、国際金融政策において、以下の3つの目標を同時に達成することができないという理論です1:
- 資本自由化(自由な資本移動)
- 固定相場制
- 独立した金融政策
この理論の背景には「マンデルフレミングモデル」があり、ロバート・マンデルによって提示されました。具体的には、以下のような制約があります:
- 固定相場制を維持しつつ自由な資本移動を実現する場合、他国の金融政策に合わせる必要があるため、独立した金融政策を行うことができません。
- 独立した金融政策を実現しつつ固定相場制を維持する場合、資本の自由な移動は制限されます。
- 自由な資本移動と独立した金融政策を両立させるためには、固定相場制を放棄する必要があります。
例えば、ユーロ圏では資本の自由な移動と固定相場制(単一通貨の導入)を実現していますが、金融政策は欧州中央銀行に一任されており、加盟国は個別の金融政策を採ることができません。一方、中国では為替の安定と中央銀行による金融政策の自由度を確保するために、外国との資本移動に制限を設けています1。
このトリレンマは、国際金融政策を考える上で重要な指針となっており、各国がどのような政策を取るかによって、その国の経済状況や国際経済に与える影響が異なってきます。また、グローバル化が進む現代においては、資本の自由な移動を制限することが現実的ではないため、多くの先進国では為替の安定を放棄する傾向にあります。