先週(10/20~10/24)の市場動向サマリー
市場概観:史上最高値圏での激しい攻防
先週の国内株式市場は、史上最高値圏で激しい値動きを演じる一週間となりました。
週明け20日(月)、国内の自民党と日本維新の会による連立政権樹立合意が好感され、日経平均株価は史上初めて49,000円台に乗せ、終値で過去最高値を更新する力強いスタートを切りました。翌21日(火)には、午前の取引中の11時21分に一時49,945円まで上昇し、50,000円の大台にあと45円まで迫る場面も見られ、新政権への期待感が相場を押し上げました。
しかし、週半ばにかけて市場の雰囲気は一変します。高市氏の首相就任が伝わると材料出尽くし感が広がり、さらに米国市場での半導体関連株の下落が重石となりました。22日(水)には一時700円超、23日(木)には900円超の大幅な下落に見舞われるなど、高値警戒感からボラティリティが急上昇しました。
週末24日(金)には、米国市場でAI・半導体関連株が反発したことや、為替市場で円安が1ドル=152円台半ばまで進行したことを追い風に、日経平均は再び49,000円台を回復。一方、TOPIXは終値で過去最高値を更新し、幅広い銘柄に買いが入ったことを示しました。
総じて、この週の市場は史上最高値圏での利益確定売りと新政権への期待買いが激しく衝突する展開となりました。この高値圏での不安定な均衡は、今週の日米欧の重要イベントという強力な触媒によって、上昇トレンドの継続か、あるいは調整局面への突入か、その方向性が明確に示されるでしょう。
関連動画:
馬渕磨理子先生の解説
動画のポイント
高市政権と初期の動向
- 高市総理の誕生が始まり、人事が非常に心強い布陣であると考えられています。
- 10月23日木曜日の読売新聞朝刊によると、高市内閣総理の支持率は71%と非常に高く、特に若い世代からの支持も高いという強い数字が出ています。
- 高市政権誕生後、日経平均やゴールドは一時調整局面を迎えており、これは押し目のタイミングであると捉えられています。
- 高市総理就任後も、日本の10年債金利水準は1.66%程度で推移しており、マーケットからの信任は今のところ得られていると見られています。
海外から見た高市政権のスタンス(ブルームバーグの分析を含む)
- 海外メディア(タイム)では、高市総理は**「ハードライン・コンサバティブ」(強固な保守派)**と表現されています(10月21日時点)。
- ロイターでは、高市総理は**「コンサバティブ・ナショナリスト」(保守的なナショナリスト)と表現されています。この「ナショナリスト」という表現は、単なる右派ではなく、明確に国家の伝統、安全保障、文化、アイデンティティを守る政治家**という意味合いで使われているようです。
- ブルームバーグの端末内の情報に基づく日本の政局のマトリックス分析では、高市総理は**「ビッグ・ガバメント」(大きな政府)のスタンスと分析されており、積極的な財政出動と金融における政府の役割拡大を重視**する立場です。
- 石破氏は「スタビリティ・オリエンティッド」(安定思考)、すなわち財政均衡と慎重な金融政策のスタンスに位置付けられています。
- 日本維新の会は**「グロース・オリエンテッド」(成長思考)**の軸に位置しており、経済成長を最優先し、AI、デジタル化、イノベーションへの投資を通じて将来の成長性を高めることを目指しています。
- 野村総研の木内氏のコメントでは、維新は高市政権の積極財政とは対照的な「リバタリアン的改革志向」のパートナーであり、高市政権の財政スタンスを中和する勢力として位置付けられ、海外への安心材料となっている可能性があると分析されています。
- 高市さん自身は「責任ある積極財政」を掲げており、際限なく財政を拡張する考えではないため、このスタンスを海外メディアにどう伝えるかが重要です。
- 人事で小渕氏が税制調査会長に就任しており、財政規律を考慮した判断がなされると見られています。
金融所得課税の再浮上と議論
- 10月22日の日経新聞の論調として、ガソリンの暫定税率廃止に伴う財源不足を補填するため、金融所得課税の強化が案の一つとして浮上しています。
- 他に財源案として、法人税に関わる租税特別措置(賃上げ促進税制、研究開発税制など)の見直し・廃止や、自動車関連の諸税の見直しも挙がっています。
- 金融所得課税の強化案に対し、国民民主党の玉木氏や話者も慎重な議論を求め、反対の立場を示しています。
- 現在、金融所得課税の強化は30億円以上の株売却益がある人を対象に進められていますが、この課税対象水準が20億や10億に切り下がる可能性が懸念されています。
- NISAや一般的な金融所得、年収ゾーンには影響しないと考えられていますが、もし水準が下がると投資家のマインドが冷えることが懸念されます。
- 金融所得課税強化による財源は、最大で見積もっても4,000億円程度、対象を絞れば数百億円程度にしかならないと試算されており、国民マインドを冷やすほどの効果ではないかもしれません。
- 金融所得課税が問題視されるのは、高所得者(1億円以上)になるほど、労働所得よりも金融所得の割合が大きくなり、金融所得の税率(20%)が労働所得にかかる税率より低くなるため、税負担率が低くなるという状況があるためです。
株式市場とセクターの動向
- 日経平均は10月23日木曜日に666円下げ、48,600円水準となりました。
- 5日移動平均線から25日移動平均線(約46,700円)や75日移動平均線から乖離しているため、あと1,000円程度の調整は十分問題ない調整幅と見られていますが、押し目買いが入る可能性もあります。
- J-REIT指数が上昇しています。これは高市総理が利上げに対して消極的なトーンを持っているため、日銀の利上げが12月以降に後倒しされるとの見通しによるものです。
- ゴールド価格は、ETFと現物価格の乖離のアナウンス(17日)の後、調整局面に入っています。
- ゴールドは地政学リスクの再燃、ドルからのシフト、インフレ対応の観点から長期スタンスで有効であると考えられており、話者は調整タイミングで買い増し(スポット買い)を行っています。
- 造船関連銘柄(例:三井E&Sなど)が動いています。
- 高市総理が就任会見で、AI、半導体、医療と並んで造船を打ち出しました。
- 造船は、日本の貿易物の99.6%が海上輸送であるため、国の根幹となるインフラであり、経済安全保障の観点からも国家戦略として非常に重要視されています。
- 日本の造船業はかつて世界シェアの4割を超えていましたが、現在は中国や韓国の台頭により低下(2022年で17%程度)し、規模でも劣っているため、積極的な投資が期待されています。